2025年10月11日
- 認知行動療法
セクハラ・パワハラの再発防止カウンセリング
〜認知行動療法で「同じことを繰り返さない」ために〜
セクハラ・パワハラの再発防止には、「もうしないように気をつける」だけでは不十分です。
一度ハラスメント行為に至った背景には、考え方・感情・環境の複合的なパターンが存在します。
カウンセリングでは、その根本にある“思考と行動のクセ”を見直すことが重要になります。
こんにちは。オンライン性犯罪再犯防止カウンセリングセンターです。
本日のテーマは、
「セクハラ・パワハラの再発防止に向けたカウンセリング」になります。
1. セクハラ・パワハラとは何かを改めて理解する
● セクシャルハラスメント(セクハラ)
性的な言動や冗談、容姿への発言、身体的接触、性的な関係をほのめかすなど、相手が不快・屈辱と感じる行為を指します。
たとえ「親しみのつもり」「軽口のつもり」でも、相手が不快感を覚えた時点でセクハラとなります。
例:
- 部下の服装や容姿を話題にする
- 飲み会で性的な冗談を言う
- 相手の同意なしに肩や腕に触れる
- SNSやLINEで私的な関係を迫る
● パワーハラスメント(パワハラ)
職場での優位な立場を背景に、業務の適正範囲を超えた言動で相手に精神的・身体的苦痛を与える行為です。
例:
- 人前での叱責や人格否定
- 無視や孤立させる行為
- 能力を超える仕事を押し付ける
- 業務と関係のない私的な指示
これらの行為の根底には、「相手より自分の方が上である」という力の構図が見られます。
そしてその構図が、無意識のうちに“支配・制御”の行動を生み出してしまうのです。
2. 再発を防ぐために必要なのは「反省」ではなく「理解」
ハラスメント行為が明るみに出たあと、「深く反省しています」と言う方は少なくありません。
しかし、反省だけでは再発を防ぐのは難しいです。
再発防止に必要なのは、「なぜ自分はその行為をしたのか」を理解することです。
よくある再発の心理パターン
- 正当化思考
「自分は悪気がなかった」「指導の一環だった」
→ 自分を守るために、相手の被害を小さく捉えてしまう。 - 感情の衝動化
「ついイライラして言ってしまった」
→ 怒りを制御できないまま、瞬間的な行動に出てしまう。 - 立場の固定観念
「上司だから注意して当然」「部下なんだから我慢すべき」
→ 権威構造が思考の前提となり、相手の尊厳が見えなくなる。
カウンセリングでは、こうした“思考と行動のパターン”を丁寧にほどきながら、
「自分はなぜそう感じ、どう行動してしまったのか」を一緒に整理していきます。
3. 再発防止に向けた具体的なアプローチ例
ここからは、実際にカウンセリングで行う再発防止のためのステップを紹介します。
どれも“気をつける”ではなく、“仕組みとして変える”ための実践法です。
① 状況の分析
「どんな時に衝動が強くなるのか?」を具体的に把握します。
たとえば、
- ストレスや疲労がたまっているとき
- 部下が意見を言ったとき
- 飲酒を伴う場
など、“危険が高まる場面”を明確にします。
これにより、「再発しやすいタイミング」を客観的に掴むことができます。
② 考え方のパターンを見直す
「一度だけなら大丈夫」「自分はそんなタイプじゃない」といった自己正当化の認知を点検します。
再発防止には、
- “被害を受ける側の感じ方”を理解する
- “軽い冗談”がどう伝わるかを具体的に想像する
- “正しい指導”と“支配的態度”を区別する
といった現実的なリスク再確認が欠かせません。
③ 代替行動の習得
衝動が生じた時、行動を「やめる」だけでは長続きしません。
代わりの行動を準備しておくことが再発防止の鍵です。
- イライラしたら5分席を外す
- 感情をノートに書き出す
- 信頼できる同僚に相談する
- 帰宅後に運動や入浴でストレスを発散する
“禁止”ではなく“置き換え”を意識することで、ストレスの逃げ道を確保します。
④ 再発防止プランニング
衝動が生じる前に、「自分が再発に近づいているサイン」を見つけておくことが大切です。
たとえば、
- イライラや疲れを感じやすくなっている
- 相手の反応を気にせず言葉が強くなっている
- 「また同じ状況だ」と思った瞬間に焦りが出る
こうしたサインに早く気づければ、再発を未然に防ぐことができます。
また、定期的に自分の言動を振り返り、
「うまく対応できた場面」「反省点」を整理しておくことも効果的です。
気づき → 振り返り → 修正という流れを習慣化することで、
一時的な努力ではなく、長く続く再発防止の仕組みが整っていきます。
4. 組織・職場ができる支援
個人の努力だけではなく、組織として再発を防ぐ仕組みづくりも必要です。
- ハラスメント行為者に対する再教育プログラムの実施
- 定期的なカウンセリング・面談
- 感情マネジメント・リーダーシップ研修
- 匿名で相談できる窓口の設置
「処分して終わり」ではなく、**“再発を防ぐための学び直しの機会”**を組織が提供することが、
本当の意味での再発防止につながります。
Q&A:よくあるご相談
Q1. 自分は悪気がなかったのですが、それでも再発防止の対象になりますか?
A1. はい。ハラスメントは“意図”よりも“結果”で判断されます。
本人に悪気がなくても、相手が苦痛を感じた場合は再発防止の取り組みが必要です。
Q2. 再発防止カウンセリングはどんな人が受けていますか?
A2. 職場で注意を受けた方、懲戒処分を受けた方、また「自分の言動に不安を感じている方」などさまざまです。
カウンセリングは“罰”ではなく、“変化を支援する場”です。
Q3. 一度のカウンセリングで変われますか?
A3. 行動パターンは長年の積み重ねでできています。
1回の反省よりも、数ヶ月かけて考え方と行動を見直すプロセスが効果的です。
5. 再発防止とは「関係の築き方を学び直すこと」
セクハラやパワハラは、特定の“悪い人”だけが起こす問題ではありません。
職場の人間関係やストレス、立場のプレッシャーが重なれば、誰にでも起こり得ます。
だからこそ、再発防止カウンセリングは「反省」ではなく**“学び直し”**。
相手との関わり方、言葉の選び方、自分の感情との向き合い方を見つめ直すことが、
同じ過ちを繰り返さないための確かな一歩になります。
ご相談・お申し込み
オンライン性犯罪再犯防止カウンセリングセンター
https://addiction.cbt-mental.co.jp/
LINE:https://lin.ee/26sKHRK8
お申込フォーム:
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSelm3nMBwOyvwnkhrkihe-APBzNTll2NL4fsPB6b6hHMzC8GA/viewform
まとめ
再発防止とは、
「二度としない」と誓うことではなく、
「同じ状況で違う行動を選べるようになること」です。
セクハラ・パワハラを繰り返さないために、
思考・感情・行動を丁寧に見直すこと。
そして、それを支えるのがカウンセリングと認知行動療法の力です。