2025年03月01日
- メンタルヘルス
性犯罪再発防止の海外の取り組み紹介

性犯罪の再発防止は、社会全体の安全と安心に直結する重要な課題です。アメリカ、カナダ、イギリス、そしてヨーロッパ各国では、この問題に対して科学的根拠に基づく多様なアプローチが採用されています。特に、行動と考え方の関連性を整理し、自身の行動パターンを深く理解することを重視したプログラムが多く存在します。本記事では、各国の具体的な取り組みを詳しく紹介し、当センターでの支援にも通じる考え方をお伝えします。
海外における性犯罪再発防止の取り組み
1. アメリカの取り組み
アメリカでは、刑務所内および社会復帰後の支援プログラムが体系的に整備されています。特に注目すべきは以下の2つのモデルです。
- グッド・ライフ・モデル(Good Lives Model: GLM): このモデルは、個人が「良い人生」を追求する中で、問題行動の代替となる健全な選択肢を増やすことを目的としています。具体的には、個々の価値観や目標を明確にし、それに沿った生活を築くことで再犯を防止します。
- リスク・ニーズ・レスポンシビリティ(Risk-Need-Responsivity: RNR)モデル: このモデルは、再犯リスクの高い個人に重点的な支援を提供し、再犯を引き起こす要因(ニーズ)に焦点を当て、個々の特性や学習スタイルに合わせた介入を行うことを重視しています。
これらのプログラムでは、問題行動が発生しやすい状況や環境を詳細に分析し、具体的な対処法を策定することが重要視されています。
2. カナダの取り組み
カナダでは、サーキュルズ・オブ・サポート・アンド・アカウンタビリティ(Circles of Support and Accountability: CoSA)という独自のプログラムが展開されています。このプログラムは、社会復帰した個人を地域のボランティアと専門家がチームとなって支援し、日常生活において適切な行動を維持できるようサポートするものです。具体的には、定期的な面談やコミュニケーションを通じて、社会的孤立を防ぎ、健全な人間関係の構築を促進します。
また、カナダでは刑務所内でのプログラムだけでなく、出所後の継続的な支援にも力を入れています。特に、社会生活への適応を支援し、自身の行動パターンを理解するための教育やワークショップが提供されています。
3. イギリスとヨーロッパの取り組み
イギリスでは、セクシャル・オフェンダー・トリートメント・プログラム(Sexual Offender Treatment Programme: SOTP)が長年実施されてきましたが、近年の研究成果を踏まえて新たなプログラムへと移行しています。現在では、個々の状況やニーズに応じた支援が求められており、以下のアプローチが重視されています。
- 適応的な対処法の習得: ストレスや誘惑に直面した際に、適切に対処するスキルを身につけるトレーニング。
- 健全な人間関係の構築: 他者とのポジティブな関係を築くためのコミュニケーションスキルや共感能力の向上。
- 衝動のコントロール強化: 衝動的な行動を抑制し、冷静な判断を下すための自己管理技術の習得。
ヨーロッパ各国でも、単なる行動の制限ではなく、問題行動の背景にある要因を明らかにし、建設的な行動を促進するための教育や支援が行われています。
ケースごとの状況整理の重要性
これらの海外のプログラムに共通するのは、単に「やってはいけない」と制限するのではなく、なぜその行動が生じるのかを整理し、別の方法を身につけることに重点を置いている点です。
当センターでも、一人ひとりの状況を整理し、
- どんな場面で問題が起こりやすいのか
- どのような考え方が影響しているのか
- 他にどんな選択肢があるのか
といった視点を踏まえて支援を行います。
当センターでの支援内容について詳細なブログも掲載しておりますので、ご参照ください。
まとめ
海外の取り組みから学べることは、再発防止には「制限」だけでなく「理解」と「新たなスキルの習得」が不可欠であるということです。認知行動療法カウンセリングセンター広島店では、個々の状況に合わせた詳細な分析を行い、より良い選択ができるよう支援致します。
お困りの方は是非ご相談ください。
認知行動療法カウンセリングセンター広島店
https://hiroshima.cbt-mental.co.jp/