2025年01月15日
- 認知行動療法
性犯罪再発防止のためのカウンセリング(認知行動療法)

こんにちは。オンライン性犯罪再犯防止カウンセリングセンターのスタッフです。
現代社会において、性犯罪は被害者の心身に深刻な影響を与えるだけでなく、加害者本人やその周囲にも大きな課題をもたらします。再発リスクを抱える方にとっては、自分自身を見つめ直し、行動をコントロールする力を身につけることが重要です。当センターでは、そのための具体的なサポートを提供しています。
本記事では、性犯罪の再発防止を目的としたカウンセリングでのアプローチについて、詳しくご紹介します。
性犯罪再発防止の課題
性犯罪に関わる行動の背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。これらの要因を正しく理解し、それに対応する方法を学ぶことで、再発を効果的に防ぐことが可能です。以下に主な課題を挙げます。
1. 衝動的な行動
一部の方は、性衝動や感情が高まった際に、衝動的に行動を起こしてしまう場合があります。これには、自分の感情を管理する方法が十分に身についていないことが関係しています。
2. 固定化した行動パターン
長期間にわたる習慣や考え方が、特定の行動を繰り返しやすくします。これを変えるには、現在の行動パターンを認識し、新しい方法を学ぶことが求められます。
3. 環境の影響
周囲の環境や生活習慣も行動に影響を与える要因です。例えば、孤独感やストレスが行動を引き起こすことがあります。
4. 再発リスクを予測する力の不足
自分自身のリスクを正しく把握し、それに備える力が十分でない場合、再発の可能性が高まります。
再発防止に向けたカウンセリングのアプローチ:リラプス・プリベンション
性犯罪の再発防止において、「リラプス・プリベンション(Relapse Prevention)モデル」は重要な役割を果たします。このモデルは、再発のリスクを低減するために、リスクの高い状況やトリガーを特定し、それに適切に対応する方法を学ぶことを目的としています。
リラプス・プリベンションは、再発の原因を単に「衝動的な行動」として捉えるのではなく、再発に至る一連のプロセスを詳細に分析することで、適切な対策を講じる枠組みを提供します。
リラプス・プリベンションの主な要素
1. リスク要因の特定
まず、自分が再発しやすい状況やトリガーを明確にすることが必要です。例えば、以下のような要因が考えられます。
- 特定の感情(例: 怒り、孤独、不安)
- 特定の状況(例: 一人でいる時間が長い、ストレスが高まっている)
- 特定の思考パターン(例: 自分の行動を正当化する考え)
カウンセリングでは、こうした要因を一緒に振り返り、具体的に特定していきます。
2. リスク状況への対処法を計画する
リスク状況を特定した後は、それにどう対応するかを事前に準備します。たとえば以下のような対策が挙げられます。
- 代替行動の選択: 衝動が生じた際に、問題行動ではなく別の行動を選ぶ練習を行います(例: 散歩に出かける、信頼できる人に連絡する)。
- リスク回避のスキル: トリガーとなる状況を避ける方法を学びます(例: 特定の場所やSNSを利用しない)。
- サポートシステムの活用: 信頼できる家族や友人、専門家に助けを求める方法を取り入れます。
3. 早期警戒サインの認識
再発のプロセスは、突然始まるのではなく、徐々に進行します。そのため、早期警戒サイン(warning signs)を見つけ、それに気づくことが重要です。
- 初期兆候: ストレスが増加する、孤立感を感じる、ネガティブな思考が強まるなど。
- 行動の変化: 自分の行動に違和感を感じた際には、早めに対策を取ることが再発を防ぐ鍵となります。
4. 自己管理スキルの強化
リラプス・プリベンションでは、自分自身を客観的に管理するスキルを養うことに重点を置いています。これには、以下のようなアプローチが含まれます。
- 行動記録: 自分の行動や感情を定期的に記録し、問題が生じやすいタイミングを把握します。
- 感情調整スキル: 怒りや不安などの強い感情を適切に処理する方法を学びます。
- 自己リフレクション: 日々の行動を振り返り、改善点を見つける習慣をつけます。
リラプス・プリベンションの効果
リラプス・プリベンションの目的は、「再発しないように耐える」だけではなく、再発しやすい状況を未然に防ぎ、適切に対応する力を身につけることにあります。このアプローチを取り入れることで、次のような効果が期待できます。
- 再発リスクが高まる状況に早めに気づき、適切に対処できるようになる。
- 再発のプロセスを客観的に分析し、より良い選択をする習慣が身につく。
- 長期的な視点で、持続可能な行動改善が可能になる。
最後に
性犯罪の再発防止は、一人で取り組むのが難しい課題です。当センターでは、専門的なアプローチを通じて、一歩ずつ改善をサポートします。ご自身の行動に不安を感じている方、またはご家族の方は、どうぞお気軽にご相談ください。
オンライン性犯罪再犯防止カウンセリングセンター
http://addiction.cbt-mental.co.jp/
——代表者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
