2025年01月22日
- 認知行動療法
「盗撮」再犯防止のためのカウンセリング

こんにちは。オンライン性犯罪再犯防止カウンセリングセンターのスタッフです。
本日は、「盗撮の再犯防止を目的としたカウンセリング」についてお話しします。当カウンセリングセンターには、盗撮行為に関わる問題で悩む方やそのご家族からのご相談が寄せられています。盗撮行為に至る背景や心理的要因を丁寧に理解し、再犯防止を目指すためには、専門的なサポートが欠かせません。今回は、盗撮の再犯防止に効果的なリラプス・プリベンションモデル(Relapse Prevention Model)を中心に、当センターで行うカウンセリングの内容について詳しく解説します。
1. 盗撮行為の心理的要因と再犯リスク
盗撮行為に至る背景には、さまざまな心理的要因が関わっています。特に、以下のような要因が再犯リスクを高めると考えられます。
1.1 認知のパターン
盗撮行為に及ぶ方の中には、「相手は気にしていない」「これくらいは許される」といった、現実とは異なる考え方のパターンを持っている場合があります。これらの考え方が盗撮行動を正当化し、再犯を助長する可能性があります。
1.2 衝動のコントロール困難
衝動的な行動を抑えられないことも盗撮行為の大きな要因です。特に、ストレスや不安が高まった際に、その解消手段として盗撮行為に及んでしまうケースもあります。
1.3 習慣化
盗撮行為が習慣化してしまうと、自分ではやめられないと感じるようになり、再犯リスクがさらに高まります。このような場合、行動の根本的な見直しが必要です。
2. リラプス・プリベンションモデルとは?
リラプス・プリベンション(Relapse Prevention)は、もともと依存症の治療において再発防止を目的に開発されたアプローチです。このモデルでは、再発を防ぐために「ハイリスク状況」を特定し、それに適切に対応するためのスキルを学びます。
盗撮行為の再発防止においても、リラプス・プリベンションモデルは非常に効果的です。具体的には、次のようなステップで再犯防止を目指します。
3. 盗撮再犯防止におけるリラプス・プリベンションモデルの活用
3.1 ハイリスク状況の特定
まず、盗撮行為が発生しやすい「ハイリスク状況」を特定します。たとえば:
- 特定の時間帯や場所:混雑した公共交通機関や商業施設。
- 心理的要因:ストレスや不安、孤独感が強まったとき。
- 特定の習慣:飲酒後や深夜など、自己コントロールが弱まりやすい状況。
これらを把握することで、再発リスクが高まる場面を事前に予測できるようになります。
3.2 コーピングスキル(対処法)の習得
次に、ハイリスク状況に対応するためのスキルを学びます。
- リラクゼーション技法
深呼吸や筋弛緩法を活用して、衝動が強まったときの緊張を和らげます。 - 代替行動の設定
衝動を感じた際には、ウォーキングや読書といった代わりの行動を取ることで、衝動を冷ます時間を作ります。 - 自動思考の修正
盗撮の衝動が出た際に、「一度だけなら大丈夫」といった考えが浮かんだ場合、その考えの現実性を確認し、「この行動は自分や相手にどんな影響を与えるのか」を冷静に考え直します。
3.3 自己評価とフィードバック
セッションごとに、自分の進捗を振り返る時間を設けます。たとえば、以下のような質問を通じて自己評価を行います。
- ハイリスク状況で適切な対応ができたか?
- どの場面で対処が難しかったか? また、カウンセラーからのフィードバックを受けることで、新たな視点や改善点に気づくことができます。
3.4 維持戦略の確立
学んだスキルや知識を日常生活に定着させることも重要です。たとえば:
- 毎日の「自己チェック」リストを活用。
- ハイリスク状況に備えた具体的な行動計画を作成。 これにより、カウンセリング終了後も自分自身で再犯防止に取り組む力を養います。
4. 認知行動療法(CBT)との組み合わせ
リラプス・プリベンションモデルとともに、認知行動療法(CBT)も盗撮再犯防止に効果的です。CBTでは、問題行動に至るまでの思考や感情を分析し、それをコントロールするスキルを学びます。
たとえば、盗撮行為に至るまでのプロセスを以下のように分解します:
- 特定の思考が浮かぶ(例:「この場面は絶好のチャンスだ」)。
- 衝動が高まる。
- 行動に移す。 この段階ごとに適切な介入方法を学ぶことで、衝動を行動に移す前にコントロールする力を高めていきます。
5. 再犯防止カウンセリングの重要性
盗撮行為は、被害者の心に深い傷を残すだけでなく、加害者自身も社会的信頼を失い、自己嫌悪に陥るリスクがあります。再犯を防ぐためには、単に行動を抑えるだけでなく、自分の行動や心理を深く理解し、適切な対処法を身につけることが必要です。
6. オンライン性犯罪再犯防止カウンセリングセンターでの支援
当センターでは、盗撮行為に関わる問題を抱える方に対し、リラプス・プリベンションモデルや認知行動療法を組み合わせた専門的なサポートを提供しています。一人ひとりの状況に合わせたプランを作成し、再犯リスクの軽減に取り組みます。
お悩みの方やそのご家族の方は、ぜひお気軽にご相談ください。私たちと一緒に、問題の解決に向けた一歩を踏み出しましょう。
オンライン性犯罪再犯防止カウンセリングセンター
http://addiction.cbt-mental.co.jp/
——代表者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
